2018年2月8日(第1回) 小児がんピアサポーター研修会

講演・社会啓発

2018.02.08

  • 2018年2月8日(第1回) 小児がんピアサポーター研修会
  • 2018年2月8日(第1回) 小児がんピアサポーター研修会
  • 2018年2月8日(第1回) 小児がんピアサポーター研修会

千葉県健康福祉部の企画により、小児がんピアサポーター研修会が開かれました。
昨年、第一回目が開催され、医学的知識やピアサポーター活動の心構えなどを学び、今年度は第二回目になります。
ピアとは「なかま」を意味し、体験を語り合うことによって支える人が「ピアサポーター」です。わが子が小児がんの診断を受けて治療した体験を理解し、気持ちを分かち合えるのは、同じ経験者だからこそできることです。
治療中や退院後、様々な問題にぶつかった時、相談や経験談を聞き、情報交換できる相手である「ピアサポーター」の役割は大きく、小児がん家族会であるミルフィーユには最も大切な活動のひとつです。
そのため、この研修では、ピアサポーター活動が広がるように、より多くの方が学び、実践に結びつくことを目指しています。
2月8日の研修会に参加した方の感想を掲載します。(文責 中島)

~ピアサポーター研修会を受講して~
去る2月8日、千葉県小児がんピアサポーター研修会を受講してきました。昨年に引き続いて2度目です。
前回同様、2回構成のうちの1回目の研修会で、沖本先生の「活動するために知っておきたい医学的知識」に関する講義と情報交換会がこの日の次第でした。
 沖本先生の講義は、小児がんに関する知識から、入院中の患者、その家族の心情、退院後に直面する問題など多岐にわたり非常にもりだくさんな内容でした。
昨年にも小児がんに関する医学的知識は講義頂きましたが、今年は内容が難しくなり、医学の素人の私には「???」という箇所も時折あり・・・・。資料も一読した位では覚えきれないほどの情報量でしたが、今回頂いた資料は、今後ピアサポーターとして活動する際に教科書として使わせて頂けるものですので、大切に手元に置いて勉強させて頂こうと思っております。
 後半は、質疑応答と、沖本先生と井上さんからのピアサポーターとしての活動の際の心構えや、小児がん治療の現状などご説明頂き、2時間半の研修会が終了しました。
 この研修会に参加されている方々は、皆さん、小児がん経験者を我が子にもたれる方たちです。勿論私もその一人です。小児がんの種類に違いはあれど、皆、我が子のつらい治療を見守り、支え、励まし、ともに頑張ってきたいわば仲間であり、頑張ってこられた先輩方でもあります。その方たちとお目にかかれる研修会は、同窓会のような感もあり、研修会と名うってはあっても、私にとってはとても楽しい時間です。久しぶりにお会いする方たちと子どもの近況を話しあったりして自然と笑みがこぼれます。
 振り返れば、我が子が神経芽腫の診断を受けたのはかれこれ8年前のことです。当時幼稚園の年長の5歳。運動会が終わり、数日お休みがあっていよいよ明日から幼稚園というその前夜、突然高熱とひどい咳に苦しみはじめました。最初は運動会練習の疲れが出たのだろうと軽く考えていた私でしたが、日に日に症状は悪化し、息をするのも苦しいほどに。結局投薬治療の限界と入院をすることになったわけでしたが、入院先の病院でCTをとり、そこで腫瘍が見つかったのでした。結局、その病院は一泊だけして翌日には子ども病院に入院することに。そこで、「小児がんの一種の神経芽腫」と告げられたのでした。
 それからしばらくは何をしていても涙しか出ない日々・・・・。もっと早く見つけてやっていたら、代わってやりたい、どうして我が子が小児がんにと、そんな考えても仕様のないことばかりが頭をよぎり、我が子を失ってしまうかもしれないという恐怖に怯える日々でした。長かった入院中の出来事は、今でも鮮明に記憶に残っております。しかし、つらかった入院中の記憶の中にも、必ずそこには、娘と我々家族を支えて下さった多くの方々の笑顔があります。
 入院当初は、そんな方々の笑顔が疎ましく感じたこともありました。「娘が死ぬかもしれないのに、笑えるわけないじゃない!」、「どうしてこんなかわいそうな子たちを前にして笑っていられるの?」とそんな風に感じたことも・・・・。本当に失礼なことを考えておりました。
 しかしながら、つらいからこそ笑っていることが大切なのだということを皆様から教えて頂いたのだと、今では思います。つらい治療を乗り越えなければいけないから、それを見守る家族もつらいからこそ笑顔でそれを乗り切れるよう、元気をくださっていたのですね。たくさんの楽しい時間を病棟の仲間たちと共有し、苦しい時も励ましあってきたのだということを改めて感じた次第です。
 そんな入院中のたくさんの思い出が頭をよぎった研修会でしたが、ピアサポーターは今まさに頑張っている患者ご本人とそのご家族や、退院したけれど色々苦しい思いをしている経験者や、そのご家族などに寄り添えるようにとの思いからつくられたと伺っております。「人の気持ちに寄り添う」ということは容易なことではありませんが、かつて経験したからこそ、共感できることもあると思いますし、そうあれたら幸いとの思いから研修会に参加させている次第です。
 私はピアサポーターになるための勉強中の身ですし、若輩ですので、直接お役にたてることがまだまだ少ないのが残念でなりませんが、いつの日か、どなたかの心に寄り添い、苦しい気持ちを少しでも柔らかく、重い心を軽くするお手伝いができたら、こんな嬉しいことは無いのではと思っております。
2回目は15日に開かれ、その日には、ロールプレイングが行われます。座学から実践的な研修にその内容が変わるのですが、井上さんとK看護師さんが模範を見せてくださるとのことで、お二人の名演(?)が今からとても楽しみです。そして、我が子の時を思い出して感情移入しすぎないよう、客観性を忘れないことに留意し、次回の研修会に臨みたいと思っております。(文責 森)