“白血球の歌”

2018.02.07

“白血球の歌”

これは小児がんと闘ったある女の子が作った歌の歌詞です。
 昔から歌い継がれている“ポッポポー、ハトポッポー”の歌、ご存知でしょうか?ご存知でしたらこの歌詞で歌ってみてください。

 小児がんは成人がんより、化学療法や放射線療法に対する感受性が非常に高く、その結果、高い治癒率を期待できることが多いのですが、強い治療を受けることで、治療中は、白血球の持つ免疫機能が低下しやすくなり、様々な感染症から守る必要が出てきます。そのために約1年前後の入院を強いられ、入院中でも状況によっては病棟内の自室から出ること、プレイルームで遊ぶこと、皆で一緒に食事をとることなどに制限が加わることが度々あります。もちろん週末の外泊(一時帰宅)も長い間できないということもあります。普通だったら軽い風邪で済むことでも、治療中の子どもたちには大事となる可能性が高い、あるいは感染症のために抗がん治療がストップすることがあるからです。

 このことを子どもや家族によく理解してもらおうと、千葉県こども病院では、現在の自分の白血球がどのくらいあるのか、どのくらい感染から自分を守ることができるのか、白血球の数をニワトリや白鳥に例え、小さな子どもでも分かるように工夫をしています。
ひよこ: 白血球の数が300以下。感染に対し非常に弱くなっているために、人との接触は医療者や家族(中学生以上)のみとなる。朝食時は面会者などの人の出入りが少ないため、食堂で仲間たちと一緒に食事をとることができる。
ニワトリ: 白血球の数が1000未満。入院生活のQOL(生活の質)をできる限り下げないようにという配慮から、1日1時間だけプレイルームに出て仲間と遊ぶことができるが、マスクを着用する。
白鳥: 1000以上の白血球数。自由に自室やプレイルームで遊ぶことができ、治療がない場合、外出はできないが、家に帰って家族と一緒に過ごすこともある。
  *普通、小児の白血球数は6000〜11000(/μL) 子どもたちは大人だったら耐えられないような治療にも負けず、前向きな気持ちを失わず頑張り、毎日を過ごしています。そのような毎日から生まれたのがこの歌なのです。(文責 井上)

■記事に感想文をお寄せいただきました■
子どもの入院中は、白血球の数で、その日の子どもの行動や機嫌が決まるので、毎日、面会に行くときは、いつも今日の白血球の数はどうなのだろうと心配しながら病棟に入っていったのを思い出します。思い出すだけでも、また胸が締めつけられる感じがします。トラウマっていうんでしょうか....。